上水園のバイオ茶は農薬や化学肥料不使用。
そして、植物が生きるうえでとても大切な、
水をコントロールして育てています。
あとしばらくで、茶摘みという4月初め、
晩霜によって新芽が全滅……
三代目上水漸が家業を引き継いで間もない昭和54年、
このできごとが上水園のお茶づくりを見直すきっかけになりました。
春のぐんと冷え込むとき、
上水園ではスプリンクラーで水を撒きつづけ
茶葉が自然に溶けるまで凍らせつづけます。
茶葉が枯れてしまうのはおよそ−2℃。
水は氷るとき潜熱を発するのでその熱量を利用し
自然に溶けるまで氷らせつづけることで
茶葉の中は0℃ほどに保たれたままとなり、
新芽は枯れることなく生きつづけるのです。
全国で初めて茶畑にスプリンクラーを導入して
初めてこの方法を実践。大量に水が必要なため
100mほどボーリングして地下水を確保しました。
当時、全国的な晩霜被害から唯一免れ、
TVや新聞にも取り上げられ、多くの人が見学にやってきました。
植物の中をめぐり、気化して、凍って、姿を変えてゆく
水の不思議、植物本来の力を、身をもって感じ
植物が生きるうえで必要不可欠な、水を生かした
上水園のお茶づくりがここからはじまりました。
たとえば夜、乾いた葉に水を撒いておくと、
朝、太陽の力によって水が蒸発し、空気中の水分が動きます。
新芽を摘むと、行き場をなくした水が滞るため、
そんなふうにして湿度を動かし、
植物の中の水のめぐりをスムーズにします。
低気圧によって発生する雲は
水分が上空に引き上げられてできるもの。
これから雨が降るというときでも水を撒いて
茶葉に必要な空気中の水分を補っておきます。
日中は光合成に集中させて、水やりは夜のうちに……。
植物が本来もつ自然の中で自生する力によって
寒さや暑さ、自然の厳しさに負けない強さを育み、
加工においても独自の工夫を凝らして。
うまみにあふれ、それでいて、すっきりと飲みやすい
上水園のバイオ茶が生まれます。